病気の原因は生活の中にあるもの

大病をされた方に思い当たるふしを聞いてみると、原因がそれまでの生活の中に隠れていることがとても多いことにびっくりさせられます。

なかには、「私は暴飲暴食もしていないし、たばこもやらない、睡眠も十分とるようにしていたのに」と言われる方もいます。

確かに、食事や睡眠、嗜好品といった生活習慣が規則正しく行なわれているほうが、病気にはかかりにくいでしょう。

しかし、規則正しい生活をしている人の体には負担はかかっていないかというと、 一概にそうとも言い切れません。

案外忘れられがちで、実は重大なのが、生き方や考え方、周囲の人との人間関係などにまつわるストレスです。

たとえば、

「とても忙しい仕事をまかされて、自分としては無理だと思ったけれど、『こんなことくらいで断るのは情けない。皆やっていることなのだから』と我慢を続けていた」

「仲の良くない夫婦が、夫の定年退職で始終顔を合わせていなければならなくなった」

「姑の介護で、身も心もボロボロだったのに、誰も協力してくれなかった」

「仕事で失敗して、左遷された」

「職場でいじめを受けた」

といったことです。

それほど大きな理由はなくても、振り返ってみると、「まだ我慢できるはずだ」「」のくらいたいしたことはない」「他の人ができるんだから、私がこのくらいで弱音を吐いては」と、「まだ」とか「このくらい」と言い聞かせていることがあるかもしれません。

このように「まだ、このくらい」と言っているときは、すでに体にかなりの無理をさせているときなのです。

こんなときに、食事や酒やたばこなどの嗜好品で適度に気を紛らわせることは、ストレスの軽減に役立ちます。でも、度が過ぎるとひどく生活が乱れて、体を壊す羽目になってしまいます。

もっと困るのは、とてもきまじめな性格で、規則正しい生活がまったく崩せず、何かで気を紛らわすということが全然できない方の場合です。こういう方は、ときに生活の乱れた人以上にストレスをためてしまうことがあります。

そして、こういったストレスが長く続くと、自律神経の調子が乱れたり、体の抵抗力が落ちたりして、病気になりやすくなるのです。

大病をわずらった後は、本人とご家族が協力し合って、生活を見直し、ストレスがある場合はその軽減に努めることが、再発の防止につながります。