抗がん剤について

現在、ガン治療の薬と一口に言っても、飲み薬や注射を含めるとおよそ100種類が存在し、使用する期間、メカニズムに関してもそれぞれの薬で異なります。

そのため、素人がガン治療薬について正確に理解するのは大変困難んです。ただ、ガンの薬は2つの種類に分けて考えると少しは理解しやすくなります。

具体的には『抗がん剤』と『免疫賦活剤』です。前者はガンの殺傷能力があります。後者は殺傷能力は無いものの、代わりにガンを殺傷することをサポートする力があります。

このページではより有名な「抗がん剤」について分かりやすく説明します。

抗がん剤による副作用

多くの人は抗がん剤と聞くと副作用ばかり強くて効果はイマイチ無い、というイメージを持たれるんじゃないでしょうか?

副作用に関しては確かにあります。抗がん剤はガン細胞を殺傷するだけでなく、ガンを発症していない周辺細胞までも殺傷してしまうのは事実です。

ですから抗がん剤がその他の治療薬と比較したとき、副作用が強く出てしまうことは否定しようがありません。

現在でもガン細胞にだけ働いて正常細胞には影響しない抗がん剤の開発は行われていますが、中々実現までには至っていません。

 

一般的な風邪薬などはそれを服用することで風邪がよくなり、副作用もめったに現れません。

抗がん剤の場合は、良い効果と悪い効果(副作用)が同等といったものや、悪いものでは悪い効果の方が顕著に現れるといったケースもあります。

つまり、一般的な風邪薬などとは異なり使用するのが大変難しく、患者側からしても使用を躊躇ってしまう薬でもあるのです。

抗がん剤の副作用としてよく言われているのは、吐いてしまったり、髪の毛が抜けてしまったりすることですが、その他にも、白血球や血小板が少なくなることや、肝臓や腎臓の機能に支障が出ることもあります。

ただ、副作用に関しては薬次第といったところもあり、人によっても強さなどは異なってきます。

そして、病院側としてもできる限り副作用を軽減することや、個々人で起きる副作用を想定して軽減していくことに力を入れているわけですが、現在のところ副作用を100%起きなくする方法というのは見つかっておりません。

ここからは、どうして一般の薬と抗がん剤とでここまで状況が違ってしまっているのかを見ていきたいと思います。

薬というのは通常であれば、服用する量を多くすることでそれに合わせて効果も現れやすくなるわけですが、服用する量が増えれば副作用も現れやすくなります。

ただ、抗がん剤ではない一般的な薬ではかなりの量を服用しない限りは副作用を発症するまでには至らず、指示された量の10倍程度服用した場合でも死に至ることはないのです。

一方、抗がん剤の場合は前述したとおり、良い効果と悪い効果の大きさの関係が同等なものとなっており、悪い効果の方が強く出る場合もあるといったことから、使用する量が少量の段階から副作用が現れるわけですが、そこで止めてしまうと良い効果も現れてきません。

そのため、良い効果を得たいのであれば、副作用に関しては我慢するしかないというケースが抗がん剤の場合は多くなっています。

ただ、最近では違うタイプの抗がん剤を一緒に投与することで、副作用を小さくするとともに、良い効果を上げる『多剤併用化学療法』という方法も用いるようになってきました。

異なる性格を持つ薬を併用することで抗がん剤を用いた際のあらゆる副作用が軽減できて、軽減した副作用であれば、薬物有害反応防止剤で乗り切れるという考え方から上記の方法を用いているようです。

それを考えると抗がん剤を使用した際の副作用も今後は少しずつ軽減することが期待できると言っていいのかもしれません。

抗がん剤の場合の効き目があるというのは?
抗がん剤の効き目が大きいということを聞けば、大抵の人はガンが治ることを期待してしまうかと思いますが、そうではないようです。

抗がん剤を用いて治療を行い、レントゲン写真などを見てもガンの大きさが小さくなっていることから、効き目があったように思えても、何カ月後かに再び元に戻っているケースも存在します。

しかし、そのようなケースでも見た感じは明らかに効き目があったように思えるので、効き目があったと判断するのです。

実際肺ガンの場合も、CTによる画像診断でガンが半分以下の大きさになっていれば、効き目があったと見なします。

一般的な風邪薬の場合は風邪が完全に治らない限りは効き目があったと判断しませんが、このように抗がん剤の場合は判断基準が異なるのです。

現在において『抗がん剤の効き目があった』という言葉は、『ガンは完治しなくとも生存が可能な期間が長くなった』、あるいは、『生存が可能な期間に変わりはないが、ガンのサイズが縮小したことで苦しみが小さくなった』場合に使用しています。

大抵の人はこれだけでは満足できず、ガンが100%治って元通りの日常生活を送ることを求めているでしょうが、抗がん剤の場合はガンを治す効果と比べ薬物有害反応の方が強く出てしまうことが多いことから、上記の場合でも『効き目があった』と判断することとなっているのです。
抗がん剤に関しては現在においても新たな薬が誕生しようとしています。

抗がん剤による治療が見つかって以降、およそ30年間で100タイプを超える薬の開発が行われて、ガンの治療に使用しています。

抗がん剤に関しては、植物や細菌を育てた際に発生する液などといったほか、人の手で合成することで見つけ出そうとする場合もあるようです。

新たな抗がん剤となり得るものが見つかると、人間のがん細胞を育てたものや、がん細胞を移植した動物で効果に関する研究が行われた後、薬物有害反応についての研究も行うこととなっています。

その後、ガンに対して実際にどの程度働くのかを知ることを目的として、医療現場でも研究が行われるようになっているようです。

医療現場での人間に対する研究においては、最初に薬物有害反応や血中濃度、効き目を調べることとなっていて、その際に人間にとって危険ではない薬の量というものが決まります。

つづいて、上記の量を使用した際の薬の効果や、好ましくない症状に関することを調べていく流れとなっているようです。

そして、これらのことを調べた結果、市場に出回っても問題ないと判断した薬だけが実際の治療で使用するようになっています。

抗がん剤に関しては、新たな薬が見つかってから販売が行われるまでには10年を超える年月を要するというぐらいさまざまな研究が行われているようです。

ですが、そんなに年月を要していたのでは、抗がん剤のメリットが得られない人も増えてくるため、効き目があると判断できる抗がん剤の場合は、極力早期に使用できるようにすることに力を入れるようにしています。